3秒先の未来を読む力 ~職場にひそむ危険を回避しよう~(前編)
施設長の花輪です。私が行った講座「3秒先の未来を読む力 ~職場にひそむ危険を回避しよう~」を紹介します。
皆さんは「KYT(ケーワイティー)」という言葉をご存知でしょうか?
業界で言うと医療現場や製造業、建設、運輸関連の業種では馴染みの深い言葉です。業務上危険の伴う業種や一歩間違うと大きな事故につながりかねない業界においてよく使われる言葉です。Kは(危険)、Yは(予知)、Tは(トレーニング)というように頭文字を取ってKYT(ケーワイティー)と呼びます。私は長年、労働災害について関わる中で、よくKYTを用いた実践訓練を指導、研究してきました。
労働災害の9割近くが不注意によるものだと言われます。KYT(危険予知トレーニング)は災害に至らぬよう、あらかじめ予測して回避が出来るように日頃から訓練をするものです。また、実際の事例をもとに共有したり対応策を考えたりする際には「ヒヤリハット」を用いたりします。
では、このKYT(危険予知トレーニング)は先に掲げた業種だけに特化したものでしょうか?アルファに通われている利用者さんの多くは事務職を目指される方が多いですが、事務職というイメージから「危険」という印象は無く、工場などの職場に比べて危険要素は少ないと言えます。しかし、事務職として働く方にも意外と労働災害は多いようです。どのような時に危険があるか?というと「普段とは違った行動、動作を伴う際」に起こりやすいようです。思い付くものを書き出すと・・・
事務所のレイアウト変更や引っ越し
新しい機器が導入されたとき
年末の大掃除
事務所の蛍光灯交換
こういったシチュエーションの場合に危険がひそんでいます。いずれも日常的に行うものではなく、扱う道具や機械なども慣れないものが多いのが原因です。
ぜひとも私の経験をもとに、これから就労を目指す皆さんに元気にお仕事に励んでいただきたいと思い、他では中々教わることのできないこの講座を開きました。アルファの講座では実際にKYTを活用している業界と同様の訓練を皆さんに取り組んでもらいました。KYTを活用している職場では作業者の安全意識向上や災害撲滅のために頻繁にこの訓練を行っており、チーム内でミーティングを重ねることで職場全体の災害抑止に努めています。
KYT(危険予知トレーニング)が根付いていない職場では災害という経験を次に生かせず、安全意識の欠如や同じ災害を再び招いてしまうという悪循環になってしまいます。特に事務職では災害が起こりにくいこともありKYTの考えは根付いておらず、災害が起きた際もしっかりとしたフィードバックがなされていないのが現状です。講座ではKYTの考え方からその活用方法を学びました。
それでは後編で実際の訓練を見ていきたいと思います。
施設長 花輪