3月はなぜ自殺が多いのか?
先ごろ警察庁が発表した統計によると、昨年の自殺者は前年をやや下回ったものの、やはり3万人台。これで13年連続ということになる。とくに、就活中と見られる大学生の自殺が増えた。
参考:警察庁HP(https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html)
3月は1年でいちばん自殺の多い月で、国は昨年に続いて「お父さん、眠れてる?」というスポットCMを流すなど、対策を強化しています。多くの人にとって、3月は春の始まりであり、それまでの厚いコートを脱ぎ捨てて明るい色のシャツなどにそでを通し、気分もウキウキする時期に違いない。入学、入社と新しい生活を控え、やる気に満ちている人も多いでしょう。
ところが、一部の人にとっては、3月は「不」の季節。受験に失敗した、希望とは違う会社にしか就職できなかった、不本意な異動を命じられた、などマイナスの方向への変化を経験する人も多いでしょう。
また、まだ就職が決まらない、ずっと引きこもっている、という人にとっては、「春はスタートの季節です」といった文言も、自分へのあてつけのように捉えてしまい、気持ちがさらに落ち込んでしまうかもしれません。
自殺を考える人の多くは、重いうつ状態に陥っていると考えられます。ではこの時期、どうすればうつ病やうつ状態にならずにすんなりと乗り越えることができるのでしょうか。
まず大切なのは、受験、就職などで良い結果が出なかった場合でも、あまり自分を責めないことです。私が悪かったわけではない。たまたま運が悪かっただけだと考えて、これからをどう過ごすか、なるべく現実的に考えていく。これが大切です。
それから、たとえ不本意な変化を経験することになった場合でも、それはそれとして、この春の季節を楽しむ心のゆとりを、ぜひ忘れないようにしてもらいたいです。うつ病になった人の話を聞くと、その直前には趣味や家族とのおしゃべりもする気になれなかった、と語る人が多いです。する気になれないのは仕方ありませんが、「就職に失敗したのに散歩なんてしている場合ではない」と自分を抑え込んでしまうと、ますますうつ状態に近づいていきます。「いろいろイヤなこともあるけれど」と公園を歩いたり友だちと食事をしたり、と切り替えが、うつ病への転落を防いでくれることもあります。
それから、「春には必ず何かを始めなければならない」という強迫観念から解放されることも、とても大切だと思います。とりあえず現状維持で大丈夫と自分に対して寛大になることで、心身がすり減るのを防ぐことができると思います。
それでも不調を感じたときは、ためらわずに心療内科や精神科を受診してください。「自分はうつ病などになるわけはない」という思い込みが、受診のタイミングを失わせることも少なくないです。春はうつ病になりやすい季節と知っておくだけで、気軽に受診を考えるきっかけになるのではないだでしょうか。
あまり自分を責めず、追い込まず、このおだやかな季節をおおいに楽しみましょう。心療内科か精神科を受診したいが勇気が出ない等の方がいらっしゃれば、就労移行支援事業所アルファ王子では専門のスタッフの相談を受けることが出来ます。お気軽にご連絡頂ければと思います。皆様からのご連絡お待ちしております。
就労移行支援事業所アルファ王子 サービス管理責任者 精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士 日髙 晋資