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なかなか治らない”うつ病”(後編) -躁うつ病の正しい理解-

実は『かくれ躁うつ病』かも…

前回は「なかなか治らない”うつ病”(前編) -躁うつ病の正しい理解-」としてうつ病と躁うつ病の違いと『かくれ躁うつ病』の可能性についてお話しました。
今回は後編として、躁うつ病の症状や、診察を受ける際の注意事項についてお話しします。

躁うつ病とうつ病では治療薬も異なる

 うつ病の治療については、SSRIなどの抗うつ薬が主体となりますが、躁うつ病では気分安定薬を主体とした治療となります。そして躁状態の患者さんは、必ずしも調子が良くハッピーな状態というだけではなく、イライラした不機嫌な高揚感も伴います。程度の差が激しいときは、医師や周囲の人も「あれ、ちょっとおかしいな・・・・」と気づくことができますが、これらの症状が軽微なときは、患者さんも医師も躁状態と見抜けないため、反復性うつ病などの診断のまま、うつ病治療を続けることになってしまうのです。
 「かくれ躁うつ病」とはこのように、軽微な躁がはっきりしなかったり、見抜くことができず、うつ病として診断がついていたり、うつ病の治療を続けている躁うつ病のことを、「かくれ躁うつ病」と呼びたいと思います。

「かくれ躁うつ病」を見つける手がかりとは

 

「自分がうつ病である」と自己診断された人のうち、以下のいくつかが当てはまるようなら、「かくれ躁うつ病」の可能性があります。つまり、うつ症状で初発し、うつ病らしいと診断された患者さんで、以下に示したような症状が見られ、うつ病の治療への反応性が不良などの経過の不一致がある場合、実は躁うつ病であるという可能性も念頭に置くべきです。その場合、積極的に極性診断変更をおこない、服用する薬も再考慮が望まれます。少なくとも単極のうつ病の患者さんが、治療中にギャンブルにのめりこみ、多額の借金を作ってしまったり、急に思いついて途方もない高額な品物買ったりすることはあまりないと言われています。

躁うつ病を念頭に置くべき症状や経歴

【気分屋的気質】

生まれつき型にはめられることを嫌う→本人も自覚していることが多い熱しやすく冷めやすい→ひとつの物事を最後まで遂行することが苦手

【家族歴】

両親、祖父母、叔父叔母、従兄弟に、アルコール、薬物依存、自殺者、うつ病らしき人、躁うつ病などを疑わせるなにかしらの病気を患った人がいる

【軽微躁(気分の波)】

本人には自覚症状がなく、むしろ調子が良くなったと思いがちで、家族も病的だとは気づきにくい→長期診察中に医師が気づくことがある

【不機嫌な高揚感】

些細なことで爆発する(きれる)、イライラする、攻撃的になる、短絡的ですぐ投げやりになる物質関連障害、アルコールや麻薬などの薬物依存・乱用など(抗不安薬を持っていないと不安になる、なども含む)

【衝動制御の障害】

借金をしてまでパチンコ、競馬など病的に賭博にのめりこむ、性行為や買い物の衝動が抑えられない(病的な恋愛依存、スポーツジム、インターネット、カルト宗教、ダイエットなども含む)→家族には借金を隠している場合が多く、問診で発覚する場合が多々ある

【混合状態】

躁とうつが混じっている状態→不安焦燥感が強い、睡眠障害、摂食障害、情緒不安定、自殺念慮・企図など

【境界性パーソナリティ障害】

リストカットなど自傷行為のくりかえし、抗不安薬に依存したり乱用したりがある

「かくれ躁うつ病」

これまでに述べた、躁うつ病の双極Ⅱ型の症状は、外来の初診の面接や診察だけでは、見落としやすいものです(双極Ⅰ型は躁病相がはっきりしているため、誤診は少ないです)。むしろ、これまでのDSM-ⅣやICD-10などのガイドラインによる診断名の分類こそが、双極Ⅱ型のうつ状態を単極性うつ病と見間違える、大きな原因のひとつでもあるかもしれません。なぜなら「躁状態」は「うつ状態」と比べて患者の自覚も乏しいことが多いために、初回の診察だけではなく、何回も通院を経たり治療の経過に応じて、軽微な躁状態の存在がはっきりしてくることも多いからです。
 実は「躁うつ病」の初めは”うつ状態”が強く、うつ状態を悩み医療機関へ受診することも多いのです。

躁うつ病が発病すると、はじめはうつ状態が強く出る

「毎日抑うつ気分がひどい」あるいは「なにをしても楽しいと思うことがない」という主症状に、「夜もよく眠れない」、「食欲がない」、「体がだるい」、「集中力がなくなって、前なら数分でできたことが、今は1時間以上かかる」と訴えて、初めて心療内科やメンタルクリニックを受診されることが、躁うつ病の方にも多いのです。

初回受診時の診断基準から照らし合わせて、「うつ病」と診断・治療を開始しながらも、医師はその後の経過を注意深く診ながら、常に躁状態の存在については考慮しているのです。
 心療内科は通院を経ながら治療経過を診てもらうことが大切なのです。治療の経過や症状の経過に不一致な点がないかどうか、医師は患者との診察を経ながら判断をしていきます。
 かくれ躁うつ病の存在についてしっかりと把握するためにも、通院中の症状や経過について、医師に報告をしたり相談をするようにしましょう。

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就労移行支援事業所アルファ王子
精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士
サービス管理責任者
日髙 晋資

 

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