知的発達には遅れはなく、筋肉や神経、視覚・聴覚などに明らかな異常も認められませんが、日常生活における協調運動が年齢などに応じて期待される水準と比較して不正確・時間がかかる・ぎこちないなど、いわゆる不器用といわれる状態を、発達性協調運動障害(=DCD; Developmental Coordination Disorder)と呼んでいます。
協調運動とは
協調運動とは、見る、触った感じ、体の姿勢、手足の動きなどの感覚をまとめ上げて、滑らかな運動を行うための脳機能の一つです。このようなまとまりのある滑らかな体の動きは、日常生活動作、(食事、着替えなど)、手作業、運動バランスや姿勢保持、学習の効率など、生活の質を保つために重要です。
この運動障害は、自閉スペクトラム症や、注意欠如・多動症、限局性学習症に数十%程度併存します。それぞれの発達障害の特性に加えて、協調運動障害があると、さらに生活や学習での「困り感」が増えてしまいます。運動が苦手で楽しめないと、運動習慣が身につかなくなります。心身共に健康な生活を続けていくことは、大人になってからも大切であり、適度な運動は、バランスの良い食事、睡眠とともに健康な生活を送るための大事な柱です。子どもの時の運動が、丈夫な骨と筋肉を作る土台になります。
発達障害の一つである「協調運動障害」にも早期から目を向けてあげ、一人一人の体の状態に合わせた運動プログラムを作成して訓練をおこない、運動の楽しさを味わって、家庭や学校でも自分なりに運動に取り組む習慣がついていくことが大切です。
発達性協調運動障害(=DCD)の主な特徴
発達性協調運動障害(=DCD)の主な特徴として、以下のようなものが挙げられます。
・ハイハイが上手くできない
・転んだときに手が出ない(顔から転んでしまう)
・ボタンがはめられない
・キャッチボールが出来ない
・字が上手く書けない
・箸を上手く使えない
・靴ひもが結べない
・縄跳びが苦手
・自転車に乗れない
・姿勢が崩れやすい
・座っていても体がそわそわする
・筆圧が弱い
発達性協調運動障害(=DCD)の主な治療法
それぞれの子どもの発達段階をベースに、運動課題や生活上の困り感に合わせて、療育プログラムを行います。理学療法、作業療法、感覚統合療法などを組み合わせます。感覚統合の問題は発音(構音)、食べ物を嚙み飲み込むことにも関係しますので、言語療法が必要な場合もあります。感覚面、姿勢や運動バランスの評価を受けて、どこに運動の苦手さの原因があるか調べることは大切です。
その上で、子どもにとっての訓練は、まず、運動や作業課題が楽しいと思えるようになることから始めます。そして、徐々に苦手なことや新しい事にも少しずつチャレンジし達成感を得ること、指導担当者とより良いコミュニケーション関係を築いて行くことが総合的な発達支援と広がっていきます。
療育は親子で楽しく!
子どものうちの療育には、限りがありますが、親子で楽しく学んでいただき、ご家庭でも運動(体を使った遊び)を習慣づけることで、将来の健康な生活に繋がっていきます。
就労移行支援事業所アルファ王子
精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士
サービス管理責任者
日髙 晋資