3秒先の未来を読む力 ~職場にひそむ危険を回避しよう~(後編)
3秒先の未来を読む力 ~職場にひそむ危険を回避しよう~(前編)の続きです。
実際にKYT(危険予知トレーニング)を見ていきましょう。講座で行ったのは基本的な訓練方法の「4ラウンド法」というものを活用しました。これは一枚のイラストから予想できる危険を見つけ出して対策を考えるものです。アルファの皆さんには沢山のイラストからそれぞれに一枚のイラストを選んでいただき、「どのような危険があるのか?」を考えていただきました。
(社)安全衛生マネジメント協会 危険予知訓練(KYT)無料イラストシート集
これらのイラストをもとに以下の表を用いて今回は個人で考えてもらいました。
第一ラウンド:どのような危険が考えられるか?(10個書き出してみる)
第二ラウンド:その中で重要と思われるものはどれか?(2つ選んでみる)
第三ラウンド:それを防ぐためにはどうすればよいか?(具体策を考える)
第四ラウンド:具体策をまとめてチーム内で共有
時間制限のある中で、皆さん真剣に考えて頂き見えない場面を想像することの難しさを実感されたようです。
ここでもう一つ考えてみましょう。
例えば、下の写真から一体どのような危険を予想できるでしょうか?
シュレッダーに紙を入れようとしている一見、単純な写真です。しかし写真から想像できる危険要素は様々です。大切なのは想像力を養うことです。写真に描かれていないことまで想像してみましょう。「となりにもう一人誰かがいたら…」とか「ここで電話が掛かってきたらこの人はどういう動作をするだろう?」といった想像です。そして過去や未来も考えることです。「このあと別の人がここに来たらどうなるだろう?」「シュレッダー内にたまった紙くずは誰が回収するのだろう?」「前に使った人が紙詰まりをさせて気付かないでこの場を離れているとしたら、この人はどのような行動をとるだろう?」といった様々な場面をイラストから想像する、感受性を磨く訓練でもあります。
一例として
「実はこの紙にホッチキスの針が付いたままだったので、後に紙くずを回収した人が手を入れたところ指を怪我してしまった」
なんてことも考えられるわけです。
KYT(危険予知トレーニング)は職場にひそむ危険の抽出を目的としていますが、「職場の危険要素を無くす」ということは「安全で円滑な業務ができる環境を作ること」であり、それはすなわち「同じ職場で働く人への思いやりを養う」ことでもあります。そして不注意によって後ろ向きな仕事を増やす(怪我や事故による後処理、破損してしまったものの片付け、誰かが常にフォローしていなければならない負担など)よりも、笑顔で前向きな業務(新しいことの提案や目標に向けた取り組みなど)で活性している職場の方がやりがいを持って働けるはずです。
明るい職場を築き上げるためにも、そして笑顔で仕事に励むために個人がKYT(危険予知トレーニング)を意識することが大切です。
施設長 花輪