Kさんは今年の3月1日から勤務を開始された方です。アルファ王子に入所されてから2年、ご本人の希望された業界に就職されました。入所当時を振り返って「あの頃は自宅から出ることすらできなかった」と話されているKさん。今では期待の新人として、毎日電車で元気よく通勤されています。ではKさん卒業生インタビュー、ぜひご一読ください。
Q1 この度は卒業・就職おめでとうございます。どのようなお仕事に内定が決まったのですか?
― 3月1日から、都内の総合病院で事務職をしています。スキャナを使っての手書きデータのデジタル化とデジタル化した文章の校正。専用システムへのデータ入力、郵送物の準備(スタンプ押しや仕分け)…などが主な業務です。4月からは、現在ほかの方が担当されている業務も任せてもらえることになりそうです。
Q2 採用までの道のりを教えてください。
― もともと病院など、医療に携わる職場に勤めたいと思っており、「職場体験実習面談会」を通していくつかの病院で実習をさせていただきました。今の勤務先はそのうちのひとつです。1週間の実習を経て選考、採用が決まりました。
Q3 就職活動で苦労したことは?
― 実習にたどり着くまでの道のりは、ほかの人より長かったと思います。体調が整わなかったり、自己管理がうまく出来なかったりで、実際に実習に参加できるまでに思った以上に時間がかかってしまったのが、苦労したことのひとつです。
もうひとつは実習そのものです。それまで就労経験がなかったこともあり、実習の期間中は気持ち的に“いっぱいいっぱい”でした。
Q4 もともとアルファに通おうと思ったきっかけは何ですか?
― 大学に通っている時に体調を崩してしまったのがきっかけで、家から出ることが難しくなってしまいました。少しは外出することができたのですが、半分以上はひきこもっていました。ひきこもりながらも「このままじゃいけない…」という気持ちが強くなり、区役所の保健師さんを通して知ったアルファ王子を訪れました。
Q5 アルファに通って成長したと感じることは何ですか?
― 他人とのコミュニケーションができるようになったこと、がいちばんだと感じています。グループワークなどを通して「グループの中で他の人からどう見られているか」を知ることで、以前より客観的に自分を見られるようになりました。
また、通い始めた頃は言葉がでてこなかったり、他人とのコミュニケーションが難しい場面が多かったのですが、アルファで過ごすうちにだんだんと他の人と話ができるようになってきたことも成長だと思っています。
Q6 アルファの訓練で役立ったと思うことはありますか?
― 個人訓練・グループワーク・SST(ソーシャルスキルトレーニング:社会で人と人とが関わりながら生きていくために欠かせないスキルを身につける訓練のこと)・イベント…すべてだと思っています。
将来ひとり暮らしをしたいと思っているのですが、事業所内で調理実習やクリンリネス(=清掃実習)を経験したことはとても役に立ちそうだと思っています。
Q7 何か印象に残っている出来事などはありますか?
― 自分の家はクリスマスなどのイベントはあまり盛大に行わなかったので、アルファで開催された年末年始の各種イベントがとても印象に残っています。
Q8 これからの意気込みを教えて下さい。
― 職場では仲良く、自分のできることをもっと広げていきたいと思っています。
プライベートでは、お給料をもらえるようになったので、今までやりたいと思ってたことに手が届く気がしてきました。服を買ったり海外旅行に行ったり、いろいろしてみたいと思っています。
Q10 アルファのスタッフや皆さんにメッセージをお願いします。
― 自分の経験から思うことは「実習に行くのはとても大事だ」ということです。働くということの実感がわきますし、なによりモチベーションが上がります。また、「ここに行きたい!」という目標を持って実習するのも大切なことだと思います。焦りは禁物ですが、どうかがんばってください。
2年の間、「ひとりの人として」の自分に向き合ってくださってありがとうございました。
アルファに通っている途中で「もうやめてアルバイトでもやってみようかな…」と思ったことがあります。その時、自分の親やアルファのスタッフの両方から「いま歩いている道は遠いように見えていちばん近い道なんだ」と言われて、思いとどまったことがありました。
そういう言葉をかけてくれたことが忘れられません。
就職が決まってから普段の生活もガラリと変わった、土日のプライベートな時間もどんどん充実している感じがする…とおっしゃるKさん。活き活きとした表情でインタビューに答えてくださいました。ありがとうございました。
支援員 青山