どんな仕事にも通用する無敵のスキル
先日、利用者さんからアルファのパンフレットに掲載する記事を作るためのインタビューを受けました。そのインタビューを受けていてふと思い出したことがあります。「異業種からの転職って大変じゃなかったですか?」とか「畑違いのお仕事は大変でしょう?」とか、これまで何度も言われたことがあります。私は確かに業種も業界も全く違う世界からの転職でした(以前は航空機の整備に関わる仕事に20年以上従事していました)。ところが言われた本人はそれほど大変とは感じていなかったので深くそのことを考えたりもせず、違和感すら抱いていませんでした。
業種は変わっても仕事のスタンスは変わっていない
「この違和感の無さは一体何だろう?」と不思議には思いましたが、自分自身のことだからすぐに分かりました。それは「業種は変わっても私自身の仕事のスタンスは変わっていない」からです。私は人一倍「雑用」が得意です。仕事の特技で言えば「雑用」が得意なのです。雑用とは、みなさんが想像する「掃除、整理整頓、片付け、点検、補修」といったところです。
雑用とは仕事の基本
「仕事の基本」とは何でしょうか?そもそも基本とは何でしょうか?「基本とは物事の軸となるもの」です。私は雑用こそが全ての仕事に通じる基本だと考えます。
突き詰めて言えば「仕事とは多くの雑用で成り立っているもの」です。皆さんは使った道具を元の場所にきちんと戻していますか?自分の出したゴミを自分で片付けていますか?ホワイトボードに書いた文字を自分で消していますか?
雑用が運ぶ仕事運
雑用は仕事の運を呼びます。約20年以上の社会人人生での実体験です。私はむしろ雑用を軽んじている人や職場が、ことごとく仕事の運から見放されていくのを目の当たりにした経験の方が多いかも知れません。なぜ、雑用が仕事の運を呼ぶのか?雑用を怠って運から見放されるのか?これについては別の機会にお話ししますが、決してオカルトのような話ではありません。とても細かく説明のできるものです。
仕事の大半は雑用で成り立っている
世の中には様々な職業があります。どのような職業であれその半分以上は雑用です。業務ごとに何かを準備したり片づけたり、移動させたりと、実は業務の大半が雑用だったりするのです。例えば「重要な書類を作成して郵送する」という業務があった場合、専門性に関わるのは「どのような書面・文面にするか」ということだけで、その他には切手や封筒の準備、印刷、宛名書き、ポスト投函などといった雑務が存在します。もしかすると、宛名を書くためのペンが無かったり、封筒が無かったり、印刷するための用紙が無かったりした場合に、それらを準備するという雑用が生まれます。また、宛名を書くために机の上を整理したり、掃除したりしなければならないかも知れません。滅多にないかも知れませんが、そのタイミングでPCやコピー機に不具合が発生したりした場合、点検したり修理依頼したり、代わりの方法を考えたりといった雑務が発生するのも職場の「あるある」ではないでしょうか。つまり専門性に関わる業務割合と同等、もしくはそれ以上に雑用というものは多いのです。
立場や職種は変わっても変わらない仕事のスタンスを
私は、支援員として従事していた期間も、施設長としての現在でも仕事のスタンスは変わっていません。毎朝の事業所の清掃や点検はルーティンです。その他、ゴミ捨てから備品の修理など可能な限り率先して行います。
雑用にこそ、きめ細かさを
清掃や整理整頓、片付け、点検、補修など「雑用」といわれるものに意識を向けてみてください。その癖をつけるには「ひと手間」を加えることです。掃除機をかけるのならプラスアルファで「床だけではなくゴミ箱の裏やコピー機の下」も覗いてみたりする。「かけ終わったあとの掃除機のフィルターを洗ってみる」などです。ボールペン一本をペン立てに片づけたのであれば「ペン立ての周りを整理」したり「インクの無くなっているペンを選別してみたり」ということです。
どんな仕事にも通用する無敵のスキル
雑用一つにも様々なことに意識を向ける癖がつくと、仕事そのものもきめ細かく、細部に意識が向くようになります。これは、どのような仕事にも通用する無敵のスキルです。資格勉強では絶対に身に付きませんが、どんなに専門性のある資格より役に立ちます。なぜなら、先に述べたように「仕事とは多くの雑用で成り立っているもの」「仕事の大半、もしくはそれ以上が雑用」だからです。当然、雑用を普段からやらない人の仕事は「どこか詰めが甘く、痒いところに手が届かない」ことが多いのです。事務職で例えてみましょう。同じ資料を10人の人がプリントアウトしたとして、間違いなく印刷の結果に差が出ます。
例えば、「ただ印刷するだけの人」と「自分以外の誰かが読むことを考えて印刷する人」では結果は違います。接客など、対人のサービスを提供している職業であれば、この「きめ細かさ」には必ず差がでます。イコール「サービスの質の差」になります。私達のようなお仕事で言えば「支援やサポートの質の差」になります。
アルファで培う無敵のスキル
アルファでは私、花輪自らミニ講座を開催して、様々なテーマに沿った利用者さんのスキルアップを図っています。また、個別訓練を主体としていますので、他では教わることのできない仕事のスキルや考え方などをお伝えしています。
施設長 花輪