アルファ王子 公開講座 ①『文章要約』
アルファ王子で実践している講座の中に「文章要約」というものがあります。
例えば「300文字くらいの文章を30文字以内で表現してみましょう」といった訓練です。時には時間制限なども設けて行ったことがありました。なかなか長文を短文に集約するという作業は難しいものです。一つ例を挙げてみましょう。みなさんも挑戦してみて下さい。
以下の「」内の文章は約300文字で構成されています。この文章を50文字以内で分かりやすく要約してみましょう。ちなみに正解はありません。
「パソコンのタイピングについて、例えば今日の朝一分間に40文字を打ち込める方が4時間の訓練を経て、午後になって一分間に80文字を正確に打てる人になるかというと、残念ながらどんな訓練をしても難しいでしょう。これはタイピングの訓練に限らず、知識を必要とする訓練などでも同じことが言えます。訓練というものは一日に数時間同じことをするよりも、少ない時間を毎日コツコツと続けていくことが上達のカギとなります。ですから、タイピングの練習であれば、一日に20分~30分を毎日続けていくことで「先週は一分間に40文字打てたものが、翌週には50文字になっていた」というのは決して不自然なことではありません。」
いかがでしょうか。難しいと感じたでしょうか?それとも簡単でしたか?
以下に参考解答を載せておきます。(正解はなく、あくまで参考です)
【50文字以内参考解答】
「どのような訓練でも長時間続けて行うよりも短い時間で継続して続けていくことが上達のカギとなります。」《48文字》
ちなみに20文字以内でしたらどうでしょうか。こちらも参考解答を載せておきます。
【20文字以内参考解答】
「無理をせずに、小さな目標を少しずつ」《17文字》
この訓練は様々な効果をねらったものです。第一にその文章の要点をしっかりと掴んでいるかがポイントになります。ご自身では上手くまとめられたと思っても、それを読んだ相手が「何のこと?」と思ってしまったら十分に内容を整理できていないのかも知れません。そしてアルファ王子に通っていらっしゃる利用者の皆さんが苦労されているものの中に「応募書類作成」があります。ご自身の「アピールポイント」や一番大切な「志望動機」といった文章を限られたスペースにまとめ、その上で最大限の想いを伝えるのです。長く散漫な文章や短く具体性に欠けてしまうものでは、この「想い」が相手に届きません。また、会話のコミュニケーションに至っても同様です。2時間の映画を観たからといって2時間かけてその内容を誰かに伝えるわけにはいきません。「こんな映画だったよ」と簡潔に分かりやすく伝えることが出来れば相手の方も聞きやすいのではないでしょうか。また、お仕事に於いては「報告」や「連絡」は簡潔に行うのが鉄則です。日々、ご自身が見聞き体験した内容を整理してアウトプットしていく練習を重ねていくうちにインプットの部分、つまり「情報の取捨選択」にも慣れてきます。
ある作詞家の方が、「作詞という作業は省いていく作業」だとおっしゃっていました。本当は長編小説以上に長い物語を数百文字、数十文字にしていくそうです。そして「伝えたいこと」をしっかりと表現していく。ですから、このような訓練の他にも本を読むことが好きな利用者さんには、「簡単な読書感想文を書いてみては」とお勧めすることもあります。